リスティング広告 プロの思考回路:感想

書評の前に、ちょっとだけ私の経歴を…

私の仕事は、Webマーケティングです。主に事業会社で経験を積んでいます。
業界としては、人材系が長く、大手人材紹介会社のうち、2社の宣伝部門で働いてきました。

…と簡単に経歴を紹介してから、表題の書籍について感想を述べたいと思います。

この書籍は、リスティングリスティング広告の業界で話題の本です。
発売以来、私の周りでリスティング関連の仕事をしている方は、たいてい購入している…と言ってもいいぐらいの購入率を誇ります。(私の友人調べですが)

とにかく執筆陣が豪華

多くの業界人が購入するのは、かつてGoogleや旧Overture(現Yahoo!)でリスティング広告の営業をされており、かつ現在も活躍されている方々が執筆されているという理由があると思います。

たとえば、アタラ合同会社で会長をされている、佐藤康夫さんとか…
(アタラ合同会社は、最近注目されているアトリビューションを中心としたソリューションを提供する会社ですね。)
このような方々が執筆されているので、知っている方はついつい手に取ってしまうと思います。

また、執筆陣が豪華なだけに、お互いがお互いを意識して、競い合うように文章の質を高めているような印象を受けました。

「仕様」の説明ではなく「改善」の説明

また、この本が特異なのは、仕様の説明ではなく、改善の手法や事例にフォーカスして書かれている点です。

それは、章の名前を見ていただければわかります。

第1章 どうやって効果を高めるのか?
第2章 事例でわかる!プロの思考回路
第3章 アトリビューションとSEMの未来

仕組みの説明は一切ありません。
そのかわり、改善する際に、まず何から始めたらよいか、どの視点から切り込んでいけばよいのかが、具体的に書いてあります。

たとえば、第1章にはリスティング広告の最適化に関するフロー例があります。
このフロー図と管理画面を見比べながら、Yes/No形式で判断すればどこを改善すればよいかわかるようになっています。
私は、このフロー図の写しをとって手帳に忍ばせてあります。
※当たり前ですが、ちゃんと買ってコピーしましょうね。

また、第2章には、実際の改善事例が、業種別に説明されています。
それぞれ業種に合わせて、コンサルタントがどのように考え、どのように行動したかがわかりやすく書いてあります。
さらに言うと、この事例の文章がすごくよくできていて、導入部分から最後まで一気に読んでしまうような展開になっています。

上記のようなポイントが、話題になっている理由なのではないかと思います。

ただし、転職サイトの事例は…

そんな素晴らしい書籍ですが、少し疑問に思った点もありました。
上記のような素晴らしい執筆陣に意見するのは非常に気が引けますが、勇気を出して書いてみます(笑)。

転職サイトの事例で、「転職」のリスティング広告をITエンジニアが観たとき、ITエンジニア向けのサイトだとわからなければ、リスティング広告をクリックしないと判断すべき…という文章があります。

ここは、私たち人材系のマーケティングを経験した者からすると、ちょっと?です。
なぜそう言えるかというと、ちゃんと調査をしているからです。
(どのように調査しているかは言えませんが)

ただ、こういう本は、良い点を取り入れる姿勢で読むと良いと思っています。完璧な書籍なんて、ありませんから。

この書籍を読んでほしい方

リスティング広告の仕組みはおおよそ知っているものの、どこから改善すべきか迷っている方は、ぜひ一度この書籍を手に取っていただけばと思います。

全くの初心者の方は、たとえば以下のような、リスティング広告の仕組みについてしっかり書かれた書籍をお読みください。

Google AdWords&Yahoo!リスティング広告対応 リスティング広告 成功の法則

個人的には、コンサルタントの方々のみならず、できれば広告主側の担当者がこの書籍を手に取っていただき、自ら改善していく姿勢で臨んでほしいと思っています。

以上でした。

リスティング広告 プロの思考回路 (WEB PROFESSIONAL)

リスティング広告 プロの思考回路 (WEB PROFESSIONAL)