小澤征爾さん、一年間の休養へ

指揮者の小澤征爾さんが、一年間の休養に入るというニュースが出ていました。

http://www.asahi.com/culture/update/0307/TKY201203070139.html

指揮者の小澤征爾さん(76)が、来年の2月末まで、体力回復のため指揮活動を中止して休養すると所属事務所が発表した。それに伴い、今月17日から全国4カ所で予定されていた「小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト11」の「蝶々夫人」は中止となる。

小澤征爾さんは、私の恩人です。

突然ですが、小澤さんは、私を音楽と言う素晴らしい世界に紹介していただいた、恩人です。

私は高校生の頃、典型的なブラバン少年でした。
コンクール命で、コンクールに勝つことが全てでした。
高校生の三年間は、全て部活に注いだと言っても過言ではないです。

ですが、大学に入ったらなんと吹奏楽部がなかったのです。
同好会はあったのですが細々とやっている状態で…

当時の自分としては、同好会的な状態は正直言ってつまらなくて(今から考えると、なんて上から目線なんだろうと思いますが)、しぶしぶ、人数が多くて組織もしっかりしているオーケストラに入りました。

最初は、つまらなくてしょうがなかったのです。
オーケストラのチューバはあまり吹くところがありませんし、弦楽器とも合わせづらくて…

ですが、ある日NHK教育で演奏していた、小澤さん指揮・ベルリンフィル演奏による「英雄の生涯」(R・シュトラウス)のビデオを見て、衝撃を受けました。

こんなに華やかで密やかで、悲しくて明るい音楽があったんだ!!という感動…
そして、それを100人ほどの規模で演奏する難しさ・面白さ…

その奥深さに、すっかりはまってしまいました。

たしかカラヤンさんが急に出演できなくなり、代役で小澤征爾さんが指揮を振られたのでははなかったかと思います(豪華な代役です)。
ですが、その時の演奏は、本当に素晴らしい演奏で、音の厚みといい、個人のソロの素晴らしさといい、名演中の名演でした。

おかげで、それ以来20年以上、週末はオーケストラと共に過ごす生活を送っています。
音楽のために仕事をしていると言っても過言ではありません。

ブラスバンドは今でも大好きですが、もっと音楽を好きになれたのはオーケストラのおかげであり、小澤さんのおかげだと思っています。

辛いこともたくさんあったけど

学生オーケストラ・社会人オーケストラとも、実はいろいろ大変でした…
学生の時は、活動停止になったり…(別に違法な何かをしたりしたわけではないのですが)
大人数の団体は、いろいろあるのです。

でも、素晴らしい友人や演奏家の方々と出会えることができ、人生に彩りを添えてくれています。
そして、オーケストラの合奏の中にいられる幸せは、何物にも代えがたいものです。

こんな素晴らしい音楽に出会えたのも、小澤征爾さんのおかげです。

是非、ゆっくり休養してください。

まだ小澤さんの音楽を聴いたことがない方々はたくさんいらっしゃいますので、まだまだ音楽活動を続けてほしいと思います。
また、若い演奏家の方々にも、刺激を与え続ける存在であってほしいです。

ですから、ちゃんとお休みを取っていただき、元気な姿で指揮棒を振って欲しいです。

休養後の素晴らしい演奏を楽しみにしています。