ユーザー行動調査をリスティング広告やSEOに活用してみる

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WFD013: Figure 1.9b / Rosenfeld Media

Webサイトのリニューアルやサイト改善において、ユーザー行動調査を行う場合があります。
ユーザビリティテストとも言います。

この調査手法については、いろいろなご意見があると思います。
ですが、リスティング広告SEOを出稿している企業にとって、意外と使えるところがあったりするかもしれないので、過去の経験を書いてみます。

ユーザー行動調査とは?

ユーザー行動調査って何?と言う方のために、念のため説明をしておきます。
この道ではかなり有名な、ビービットさんのWebサイトより引用をさせていただきます。

http://www.bebit.co.jp/service/usabilitytest.html
※簡単な動画の説明もあります。

「『ユーザ行動観察調査(ユーザビリティテスト)』は、ウェブサイトのターゲットとなりうる人に個別にサイトを使用してもらい、そのときの行動・発話を観察する手法です。」

手順ですが、まず、自分たちのサービスに関係がある人を会場にお呼びします。
そして、パソコンの前で、普段のとおりに情報を探してもらいます。

情報を探している最中のモニタ上の視線やクリックの場所・画面遷移などはすべて記録されています。

一定の作業が終わった後、傍らにいるファシリテーターヒアリングを行います。
記録した行動データに基づいて、どうしてその行動をしたのかを被験者にお伺いする…という手順になっています。

意外な結果が…

ユーザー行動調査では、たとえば、旅行の情報を探している方に、「普段、旅行を探すように、パソコン上で操作してみてください。」という形でスタートするわけですが、その際、まず検索エンジンから探し始める方が一定以上存在すると思います。

ですが、おおよその場合、ユーザー行動調査はサイト改善が目的ですので、作業後の振り返りの場面では、サイトに来たところからスタートする場合が多いです。

そこで、契約時に、検索エンジン上の行動についても聴いていてほしい…と言っておきます。
(調査全体に無理のない範囲で)

具体的には、たとえば以下のようなことを聞いていただきます。

検索エンジンで、なぜそのワードを入力したのか
・検索結果画面で、なぜそのリンクをクリックしたのか
・オーガニックのほうをクリックした方には、なぜリスティング広告のほうをクリックしなかったか。
(その逆もしかり)

普段の仮説が、霧が晴れたように解決…するかも

上記のとおり、事前のファシリテーターとの打ち合わせでヒアリングを行った結果、例えば、こんな疑問や現象に対して解決の糸口を見出すことができました。


・そもそもリスティング広告とオーガニックを区別しているのかどうか

リスティング広告上位でかつオーガニックで上位の状況で、リスティング広告を出稿停止すると、その分しっかりコンバージョン数は下がる。
(出稿停止した分、オーガニック上位のほうが増えるわけでは無い)

・とあるビッグワードを数週間出稿停止にして、そのあとまた再出稿した際、同じ順位・同じ広告文なのに、クリック率が悪くなる。(季節要因は考慮したとしても)


どういう推論が出たのか…という話はNDAにひっかかるので言えませんが、おそらくこうだろうと思っていたことが全く違っていたり、とても面白い結果がでました。

あくまで定性データですが…

ユーザー行動調査は、多くても数十人ぐらいしかやらない、いわゆる定性データなので、100%信用するわけではありません。
ただ、なんとなく広告主側で判断するよりはずっとましです。

また、これは検索エンジン側ではこのようなテストはやっているはずですが、外部に共有されるということはまずないでしょう。
検索エンジンという「媒体」(とあえて言いますが)研究の一つとして広告主側に知見が溜まるというのは、そう悪いことではないと思います。

それから、ユーザー行動調査で出た現象と言うのは、社内での理解促進に使えます。
特にあまりWebマーケティングに詳しくない上位層の方に、意外に受けが良いです。
普段何を言っても響かない人たちにも、「お客様層を実際にお呼びして調査をさせていただいたところ…」なんていうと、すごく納得してもらえたりします。

ただし、ユーザー行動調査は、一般的にそう安いものではありません
ですので、リニューアル前のユーザー行動調査において、ついでにやってもらうことをお勧めします。
ちゃんと契約前に打ち合わせておくと良いと思います。

そもそもユーザー行動調査を行う会社はそう多くないと思いますが、逆に言うと、この調査を行うぐらい予算がある会社は、リスティング広告SEOにも一定の金額をかけている可能性があると思います。

というわけで、過去の経験を書いてみました。



ユーザ中心ウェブサイト戦略 仮説検証アプローチによるユーザビリティサイエンスの実践

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